Pink Floyd『The endless river』(2014)

f:id:hellion1941:20181210201418j:plainピンクフロイドのファン層にどれほど人気があるのか、はたまた人気がないのか知らないが、ギルモアフロイドの『The division bell』(1994)は大好きなアルバムである。

 

素直にキャッチーで格好良いロックナンバーが集められたとても聴きやすい作品だと思うし、終曲の「High hopes」なんて天にも昇る気持ちになる。

 

ワタクシゴトだが、どうしようもなく疲れた時は思わずこのアルバムに手が伸び、ソファで死んだように聴いていると妻が筆者の分まで家事をやってくれる。

持つべきものは良妻とギルモアである。

 

そんな大好きな『The division bell』の、いわば「アウトテイク集」とも言えるこのアルバム。ピンクフロイド最期のアルバムとのことで聴かねばならぬ義務感はあったのだが、いまひとつ期待値も高まらずだらだらとリリースから4年も経ってしまった。

 

ようやく聴いてみた素直な感想としては、

『なかなか良いじゃん!』

 

サウンド的にはやはり『The division bell』の延長で、姉妹盤と言っていい内容。

各曲のクオリティも、危ぶんでいた「アウトテイク」の印象は全然なくて「Side2,part.1:Sum」や「Side3,part.4:Allons-y(1)」「Side3,part.6:Allons-y(2)」はウォーターズ時代のアルバムに入っていてもおかしくないクオリティのハードナンバーだし、「Side1,part.1Things left unsaid」「Side1,part.2:It's what we do」なんてクレイジーダイアモンドを彷彿とさせる美しさ。

 

元になったマテリアル自体は1994年のものかもしれないが、意外と「バンドの幕引き」を意図して制作したのかもしれない。

 

他の曲も程良くキャッチーで格好良く、ギルモアフロイドとして充分良作と言える思う。

 

反面、疲れた時に聴きたくなるような精神性というか、心の底から感動するようなアルバムには至っていないのも事実かなという印象。

 

充分良いアルバムである事は間違いないんだけど、やっぱりどんな名バンドでも終わりが近づくと心臓を鷲掴みにするようなイマジネーションは失われてしまうのかな、という寂しさもあり。