穂村弘『絶叫委員会』(ちくま文庫 2013)
著者のことは存知上げなかったが、どこかで名前を目にしなんとなーく気になって本書を購入。
……おもしろい!おもしろ過ぎる!
タイトルには『絶叫』という言葉が付くけれど、内容は日常の中で見つけた(遭遇してしまった)ささやか・かつ異常な言葉達を穂村氏がつぶやいているもの。
個人的に(氏による翻訳だと「とにかく自分の中ではそうなんだから、あんたの意見と違ってても知らないよ」となる)好きなものを抜粋すると、
「彼女が泣くと永遠を感じます」
「謝りに行った私を責めるよにダシャンと閉まる団地の扉」
「お客さまの安全のため防犯カメラを設置しています」
「堕胎しました」
「おかゆいところはございませんか」
「何歳に見える?」
「愛情がなくなりました」
「昼から飲めます」
「インフルエンザ防御スーツ」
等の、はっきりと異常性を感じるものや、日常でよく目にするが、よくよく噛みしめてみるとどうかしている言葉達が並ぶ。
これら異常なセンテンスが穂村氏による分析という名のツッコミに彩られ、たまらないおもしろさを放つ。
単純に笑えるエッセイ集であるとともに、言葉というものの強烈な力を感じ、ある種の感動すら覚える。
クスッとしたい人、人間の計り知れない心理を垣間見たい人なら是非ご一読を。