エレファントカシマシ『明日に向かって走れ-月夜の歌-』(1997)
エレファントカシマシの9枚目。
バンド最大のヒットシングルである「今宵の月のように」が収録されたアルバム。
初めて聴くエレカシ。
ずっと「良いんだろうな」と思いながらなんとなく縁がなく触れずに過ごして来たエレカシ。
「男の哀愁を歌うバンドなんだろうな」と思ってたエレカシ。
違った…。
男の哀愁と、熱い熱い想いを歌うロックバンドだったエレカシ!!!
沁みるなぁ。宮本さんのぶっきらぼうな歌い方と、ひたすらに真っ直ぐな歌詞。演奏面ではこれといって特筆すべき点はないけど、叩き上げらしい安定感のあるサウンド。
全体として、日本のフォークソングが好きな人なのかなという印象。
自身の想いを率直に歌にし、牧歌的なメロディーを60~70年代ロック的なバンドサウンドと結構な高いキー&絶唱で一段上の音楽に仕立て上げている。
オープニングからの3曲「明日に向かって走れ~戦う男~風にふかれて」はまさに男の想いと哀愁を歌い上げるナンバー。
6曲目の「せいので飛び出せ!」なんかはストーンズ直系のシンプルなロック。渾身の想いで絶唱するタイプの宮本さん、当然こういう曲も合う。
最後の「月夜の散歩~恋人よ~今宵の月のように」はアルバムのサブタイトルにある『月夜の歌』を象徴する3曲。
「月夜の散歩」はアコースティックギターとヴォーカルだけで切々と歌い上げる。
「恋人よ」「今宵の月のように」は、バラード調とまではいかないまでも、スローテンポで情感溢れるバンド曲。
正直、最後が「今宵の月のように」ってのはちょっと狙い過ぎでは?と思わなくもないけど、そんな邪念をすべてぶっ飛ばす説得力を持つのが宮本浩次という人の凄みなのだろう。
いやぁ、俺もエレカシがわかる年齢になってきたってことか…。