LOUDNESS『Rise to glory-8118-』(2018)


f:id:hellion1941:20181222151652j:image

ラウドネス最新作。

 

モダンな音造りではあるものの、一昔前のヘヴィネス時代とは異なり、「8118」のサブタイトルも頷ける往年のラウドネスサウンド

 

オープニングのインストから、シングル曲の「Soul on fire」へ。

正直初めて聴いた時は「ダサっ」「リフやる気ねぇな!」と思ったけど、なかなかどうしてスルメな曲で、ラウドネスの新たな代表曲になり得るのではと思う。

 

7曲目の「Massive tornado」はスラッシーな激励ファストチューン。

ありがちなタイプではあるけれど、そこはやはりラウドネス。重みが違う。凄い迫力。

 

続く8曲目の「Kama Sutra」は複雑な曲展開のインスト。

複雑とは言え、難解過ぎる程ではなくインストとして楽しむちょうどいいバランス。

 

他もベテランらしい安定した曲が多いアルバム。

代表作のひとつに数えてもいい良盤。

 

兀突骨『魍魎』(2009)


f:id:hellion1941:20181221214302j:image

 

日本のデスメタルバンド。

「ゴツトツコツ」と読むらしい。三国志の登場人物の名前だとか。

 

収録曲に「川越ノ残虐王」なんて曲もあったりして、

f:id:hellion1941:20181221214409j:image

ルックもね、とても埼玉っぽくて…。

 

サウンドは基本的にはスラッシュ感の強いオールドスクールデスメタル

最初期のカンニバルコープスみたいな。

 

バンドの特徴としては、徹底的な日本語とバッキバキなベース。

デスメタルにスラップってあんまり聴いたことないかも。意外と良い組み合わせ。

 

スラップも無闇矢鱈に入れる訳ではなく、ちゃんとポイントを押さえた効果的な挿入。

 

日本語とはいえ歌詞はほぼ聞き取れず。

「ミ゛ナ゛コ゛ロ゛シ゛ー」とか、そんなのしか解読出来ないけど、やはり英語とは異なる耳当たりで、不思議な魅力がある。

 

サウンドプロダクションはまぁまぁで、ドラムのバタバタとも相まって、小綺麗になり過ぎた今のデスメタルにない荒々しさを醸し出す。

 

やはりメタルはこうでなくちゃね。

 

Maxophone『Maxophone』(1975)


f:id:hellion1941:20181220182437j:image
イタリアのシンフォプログレバンド、マクソフォーネの唯一作。

 

伊語ver.と英語ver.があるらしいけど、今回は伊語ver.を。

 

「シンフォ」と言うにはあまりにもチープなサウンドとプロダクション。アレンジもどちらかというと室内楽的に感じる。

 

もちろんチープだから駄盤なんていう事は全然なく、イタリアンプログレらしい愛すべきB級作になっている。

 

イ・プー的なポップで情熱的で情緒溢れるメロディーに、よくわかんない管楽器やしょぼいシンセサウンド、難しい事を頑張ってやってるけど特別上手いわけではない演奏…。う~ん、たまらん。

 

同じイタリアでもPFMとかアレアみたいな超絶技巧バンドももちろん好きだけど、「イタリア」感って意味ではこういうバンドの方がやっぱりしっくり来るし好きですね。

 

だってなんか、イタリア人ってそういうイメージじゃん?偏見?

 

物凄い名盤かというとそんな事もないんだけど、晴れた休日の午後にでも聴いたら絶妙な塩梅でほっこり出来る事間違いなしの和み盤。

Rush『Clockwork angels』(2012)


f:id:hellion1941:20181219160706j:image

 

Rushの現状最新作かつ最終作、なのかな?

 

90年代別以降のラッシュは全部すっ飛ばして来たので、音のヘヴィさにちょっと面食らう。

曲そのものはラッシュっぽいんだけど、音だけで言えばプログレメタルと言ってもいいぐらい。

 

二曲目と十曲目にそれぞれ「BU2B」と「BU2B2」なんてのがあるし、一応コンセプト作なのかな?

 

全体的に歌メロは弱めな印象だけど、その分演奏がハードでヘヴィでテクニカルなんでそちら方面で私は楽しめました。

 

アレックスのギターはちょっとソロの印象が薄いかな?

 

ゲディリーのベースは「そこまでしなくても…」ってぐらいゴリゴリな音で、ポップな曲も根本部分をハード&ヘヴィに形作る。

 

ニールパートのドラムは手数は多いんだけど、ミドルテンポばかりだからか目を回すような速いフィルはあまりないと思う。その分重厚さが増してる。

 

曲は今までのラッシュを統括したような出来で、これと言って目新しいものは感じないけど、クオリティは全体に高く、アルバムとしてのまとまりも充分なので聴いた後の満足感・充足感はかなり高い。

 

「80年代の曲を70年代風のコンセプチャルな大作感でまとめて、現代のヘヴィサウンドで仕上げました。しかも良く出来たよ。」みたいな作品。

 

ラッシュのアルバムはそんなに聴いてないけど、もしかしたら一番好きになるかも。

もうアルバムを作らないのであれば、キャリアの統括としても納得の出来映えなのでは。

 

 

 

穂村弘『絶叫委員会』(ちくま文庫 2013)


f:id:hellion1941:20181218133427j:image

歌人穂村弘によるエッセイ。

 

著者のことは存知上げなかったが、どこかで名前を目にしなんとなーく気になって本書を購入。

 

 

 

 

 

 

 

 

……おもしろい!おもしろ過ぎる!

 

タイトルには『絶叫』という言葉が付くけれど、内容は日常の中で見つけた(遭遇してしまった)ささやか・かつ異常な言葉達を穂村氏がつぶやいているもの。

 

個人的に(氏による翻訳だと「とにかく自分の中ではそうなんだから、あんたの意見と違ってても知らないよ」となる)好きなものを抜粋すると、

 

「彼女が泣くと永遠を感じます」

 

「謝りに行った私を責めるよにダシャンと閉まる団地の扉」

 

「お客さまの安全のため防犯カメラを設置しています」

 

「堕胎しました」

 

おかゆいところはございませんか」

 

「何歳に見える?」

 

「愛情がなくなりました」

 

「昼から飲めます」

 

「インフルエンザ防御スーツ」

 

等の、はっきりと異常性を感じるものや、日常でよく目にするが、よくよく噛みしめてみるとどうかしている言葉達が並ぶ。

 

これら異常なセンテンスが穂村氏による分析という名のツッコミに彩られ、たまらないおもしろさを放つ。

 

 

単純に笑えるエッセイ集であるとともに、言葉というものの強烈な力を感じ、ある種の感動すら覚える。

 

クスッとしたい人、人間の計り知れない心理を垣間見たい人なら是非ご一読を。

 

 

Bill Laswell/中村達也/山木秀夫『Bass & Drums』(2011)


f:id:hellion1941:20181215190829j:image

ベーシストのビル・ラズウェルとドラマーの中村達也山木秀夫による「金槌 弌/弐/参」からなるインプロライヴ。

 

ベースは全体にエフェクト強め。

フレーズとして派手なものはないけど、妙に存在感のあるスペーシーな音になってる。

 

一曲のドラムはたぶん中村達也

ブランキー時代のような複雑なプレイは余りなく、LOSALIOSっぽい割と直接的なビートに徹して、要所々々で小技を利かしていく印象。

 

 

二曲目はリズムが一気にジャズっぽくなり、たぶん山木秀夫のドラム。

滅茶苦茶にに手数の多い複雑なドラムに呼応してか、ラズウェルのベースも大爆発。

 

変幻自在、弾きまくり、本領発揮の超絶プレイってかんじ。

エンディングは火山が噴火したのかと思った。

 

どっちが上か、なんてナンセンスな議論は、しないけど、やっぱりこういうインプロヴィゼーションにはジャズドラムが合うね。

 

三曲目は1ベース、2ドラムスの謎編成トリオ。

 

ベース主導で、ドラム2人がそれに合わせてる印象。ドラムの自由度を感じないから、正直あんまり面白味はないかな。

 

一曲目と二曲目はドラマー2人の持ち味に合わせたインプロが聴け大満足の好盤でした。

70'sクリムゾンにも通ずる熱いライヴ。

 

 

THE WHO『Quadrophenia』(1973)


f:id:hellion1941:20181216220042j:image

四重人格』の邦題のアルバム。

ジャケットからしてもう格好良すぎ。

フーの中でもかなりアーティスティックな作品(他聴いたことないけど)。

 

オープニングSE的な「I am the sea」に続いてハードな「The real me」へ。これWASPが演ってたよね。

 

その後も結構ハード目な曲が続く。かつ『Tommy』じゃないけど(聴いたことないけど)、雰囲気は一貫してて、コンセプトアルバム感強い。

 

前述のように全体的にハードな曲が多いんだけど、曲の中で静かなパートも結構あったりして、メリハリ効いてる。

 

「Helpless dancer」とか「Is it in my head」なんて後のクイーンばりにドラマティックな曲もあり。

 

そうは言っても音楽そのものはキャッチーで聴きやすく、でもキースムーンのドラムは変わらずバタバタと大迫力で、めちゃめちゃロックしてる。

 

最後は「Love reign o'er me」でエモーショナルに、ドラマティックに終演。

芸術としてのロックミュージックの傑作。